都立高校入試の動向

都立推薦入試

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 今春の都立推薦入試の応募倍率は3.00倍で、3年連続で下がっています。
 上の表で見ていくと、普通科の男子は2.96倍→2.90倍、女子は3.71倍→3.64倍とそれぞれ下がり、単位制普通科も3.62倍→3.53倍、総合学科も2.67倍→2.55倍というようにダウンしました。しかし専門学科の商業科2.35倍→2.53倍、工業科1.80倍→1.90倍など、多くの学科で倍率アップしており、それまでの普通科志向とは逆の応募状況になりました。専門学科全体でも2.28倍→2.39倍へと上がっているので、全体の倍率ダウンはおもに普通科によるものといえます。
 推薦入試では一般入試にない集団討論や面接、作文などの検査があり(一般入試でも一部で面接を実施していますが)、その対策が必要であることや、なによりも倍率が高いので、多くの応募者にとってはそのような努力が報われないのが現状です。これが推薦離れが進行している一番の原因です。推薦枠が拡大されることは考えられないので、今後もこのような高倍率入試が続くと見込まれます。

都立一般入試

 一般入試では不合格者数が13,479人を数え、過去最多を記録した前年度をさらに約90人上回る大激戦でした。実質競争率は1.42倍、合格率70.4%で受検生の約3割が涙を飲みました。

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 普通科男子の実質倍率は上昇傾向で過去最高倍率が4年間続いています。普通科女子は前年度に次いで2番目に高い倍率でした。専門学科や総合学科の倍率も上がり、都立高校全体で厳しい入試になったといえます。

近隣の高校の状況

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 両国は男子の受検倍率が0.87倍と定員割れとなり男女の受検生全員が合格しました。H18年度に中高一貫校になってから初めての現象です。また男子で1人入学辞退者がでたことから二次募集も実施しました。小松川は男女ともに受検者が減少し倍率ダウン、同校としては緩やかな入試になりました。男女とも1学級増になった城東に移動したようです。城東は男女とも受検者は増加しましたが、男子は定員増に吸収されて倍率ダウン、女子は約40人増加して倍率アップしました。江戸川は男女とも前年度とほぼ同じで受験生の約4割が不合格になる厳しい入試が続きました。本所は1学級減で募集。しかし男女ともその分受検者が減少したため受検倍率はほぼ前年度と同じで留まりました。とはいえ合格率は男子61.1%、女子57.0%で厳しい入試が続いています。小岩も高倍率入試が続きます。男子は本所からの流れで受検者が20人増加して前年度の1.59倍から1.73倍にアップ、男女枠の緩和によって最終的に実質倍率は1.86倍まで上がり激戦となりました。葛飾野は男子の受検倍率は1.3~1.4倍程度で安定していますが、女子は不安定で今年度は35人受検者が減少して緩やかな入試になりました。葛飾総合や葛飾商業と競合しており、受検生が相互に移動しているようです。南葛飾は高めの倍率で推移しており激戦になる年が多い学校です。今年度も女子の受検倍率が2倍を超えるなど厳しい入試になりました。新校舎が完成したこととH29年度から制服が変わったことが影響したようです。白鴎は前年度に男女とも受検生の全員が合格するという大変珍しい入試でした。今年度はその反動で受検者が増加し倍率アップしています。上野は毎年高倍率になる学校です。合格率は男女とも60%前後で厳しい入試が続きます。ただ今年度は女子の倍率がダウンして普通科の平均値に近い標準的な入試になりました。江北は女子より男子の受検倍率が高くなる学校です。今年度も男子は前年度並みの1.42倍、女子は新しい制服になったことが影響したのか、受検者が約20人増加して倍率アップしましたが1.28倍でとどまっています。足立は男子の受検倍率は上昇傾向で女子は下降傾向です。今年度には女子はついに定員割れとなり受検生の全員が合格しました。1学級増となった日本橋に移動したのかもしれません。 次号では国立高校、私立高校について解説します。